
屋上緑化に取り組む時によくある質問や、起こりやすいトラブル例をまとめています。
防水層にとって屋上緑化は、紫外線による劣化を防いでくれるものですが、逆に水分が滞留したり植物の根が防水層を貫通したりして、防水層に悪影響を及ぼす可能性もあります。
屋上緑化を雨漏りの原因としないために、次のような注意が必要です。
屋上は地上部と比べると風が強く、土壌などが飛散したり、樹木が風倒する可能性が高くなります。その対策としては、次のような方法が考えられます。
土壌の飛散を完全に止めることは困難です。多少の土壌の飛散は見込んでおき、定期的なメンテナンスで補填していくことが重要です。
屋上緑化の場合は、土壌厚が充分でないことが多く、公園などでよく利用される風よけ支柱(八つ掛け支柱など)は使用できません。地中で根鉢を固定する地下支柱などを利用するのがよいでしょう。
溶接金網などの併用や、地下支柱を連結する方法もあります。

風荷重とは、風により発生する力で、屋上面を引き上げる力のことをいいます。屋上緑化を行う場合、屋上面にかかる風荷重を考慮した計画を立てる必要があります。
例えば、東京都内の5階建ての屋上には、およそ300kg/m²の風荷重を見込まなければなりません。つまり、300kg/m²以上の力で固定しなければ、理論上風により持ち上げられることになります。
風荷重は、対象建物の所在地、階高などにより計算で算出できます。算出方法についてお知りになりたい方はお問い合せください。
建物の屋上を緑化する場合、土壌の重量により建物に荷重の負担がかかります。セダム緑化の場合でも約50kg/m²、樹木を植える場合には300~400kg/m²の負荷がかかります。
新築の場合には、それらの荷重を見込んだ構造にしておけば問題ありませんが、既設の建物に緑化する場合は、その建物の積載荷重制限内(建築基準法では全面緑化で60kg/m²、部分緑化でも最大180kg/m²以内)に抑えなければなりません。積載荷重制限は、該当建物を設計した設計事務所か、施工した建築会社に確認する必要があります。
基本的には可能です。しかし本格的に作物を作るには、土厚が40cm程度必要となりますので、その分の荷重を見込んでおくことが必要です。既設の建物では、そこまでの荷重を見込んでいることは少ないと思われますので、困難でしょう。ただし、軽量土壌200mm程度で、ミニトマト、ピーマン、ナスなどを作ることは可能です。
緑化計画とともに、植栽域の排水穴の大きさや個数、排水経路など、排水計画をきちんと立てておくことが必要です。
過去のクレームの原因と対策をまとめると、下表のようになります。
| 項目 | クレーム内容 | 現象 | 考えられる原因 | 対策 |
|---|---|---|---|---|
| 防水 関連 |
防水層損傷 | 漏水 | 他種工事でスコップやカッターなどによる防水層破損 | 保護層設置 |
| オーバーフローによる漏水 | 漏水 | 経年による土壌固結・ルーフドレインの目詰まり・防水層の位置不良 | 納まり 排水計画 |
|
| 植物根による防水層の貫通 | 漏水 | 耐根層の不設置・不十分な耐根層 | 適切な耐根層 | |
| 排水 関連 |
排水勾配不良による雨水の滞留→生育不良 | 生育不良 | 設計時の勾配不良・施工時の勾配不良 | 適切勾配設置 |
| 上階からの排水による土壌流出 | 漏水・生育不足 | 排水計画不良 | 排水計画 | |
| 灌水 | 灌水パイプの切断 | 植物の枯死 | 植替え作業時の損傷 | 施工管理 |
| 自動灌水装置の不作動 | 植物の枯死 | 管理時の操作不良 | 管理の徹底 | |
| 自動灌水装置の設定ミス | 水道料金の過剰 | 管理時の操作不良 | 管理の徹底 | |
| 植物 | 生育不良 | 植物選定 | 緑化計画 | |
| その他 | 病害虫 | 生育不良 | 虫の大量発生 | 管理の徹底 |
クレームの原因は様々ですが、多くの場合、事前の打ち合わせを充分に行っていれば防げるものです。設計の時点から、緑化計画だけでなく、納まりや排水計画などをキチンと立案しておくことが必要です。
庭園型緑化の場合、植栽を施工する造園業者より、「枯れ保証」(保証期間1年間)をお出ししています(免責事項あり)。
Gウェイブ・エコム(セダム緑化)は、通常1年間の「枯れ保証」をお出しします(当社及び当社指定施工業者の連名)。
保証の内容は、保証期間中に50%以上のセダム被覆率にならなければ補植、植替えなどにより、50%以上の被覆率に改善するというものです(病虫害や維持管理によるものなど、一部免責事項があります)。
詳しくは田島ルーフィングまたは田島緑化にお問合せください。
屋上緑化の土壌による保温効果は、期待できないと考えるのが妥当です。土壌の熱抵抗値は水分量の変化によって大きくかわるためです。
土壌が乾燥すると熱抵抗値は大きくなり、保温効果は高まります。逆に土壌の水分量が多くなれば熱抵抗値は小さくなり、熱を伝えやすくなります。
このように土壌による保温効果は大きく変動するので、断熱材のように数値化するのは困難といえます。
日かげ部は、耐陰性の植物を選定して植栽するとよいと思われますが、生育はあまり期待できないと考えた方がよいでしょう。
雨のあたらない屋根も同様で、生育は期待できませんが、自動灌水装置などでカバーする方法もあります。乾燥に強い植物を植栽するとよいでしょう。
勾配屋根では、土壌の流出が懸念されます。土壌の流出が続くと植物の生育にも影響していきます。したがって、勾配屋根を緑化する場合は、後々のメンテナンスが十分に出来る状態にしておく必要があります。実施する場合は、下記項目が必須と考えます。

対応可能な仕様についてはご相談ください。
防水保護コンクリートには、伸縮目地が3mおきに設置されており、また、経年によりひび割れが発生したりすることがあり、厳密な耐根機能は有してないと考えられます。
当社では長期的に防水層を植物根から守る為に、ルートガードなどのような防水連続一体型、ラップ貼付タイプの耐根層が最適と考えています。
しかもFDフィルムとの併用により二重耐根を行い、万全を期すようにしています。
何のために屋上緑化をするか、その目的に沿う仕様を選択し、必要ないものに費用をさかないことが大切です。また、コストに関しては、経年後も視野に入れたライフサイクルコストからも考えることができます。
ライフサイクルコストの考え方については以下に示します。
屋上緑化には省エネによる費用軽減効果もあります。建物を緑で覆うことで得られる断熱効果は、建物全体の温度上昇を抑えます。また、建物を緑で覆うことにより、熱と紫外線から建物を守り、管理型緑化の場合、建物のライフサイクルコストに対する効果も期待できます。
屋上緑化施工後に防水層の改修をすることは非常に難しく、防水層の上にある樹木などの植物から大量の土壌、見切り材まで、すべての設備を撤去しなければなりません。この作業には費用もかかるうえ、廃材なども発生します。そこで、防水層改修までの期間が長い、つまり、耐久性のある防水層を選ぶことが、ライフサイクルコストの軽減につながります。
屋上緑化のメンテナンスには、どんな屋上緑化でも必ず必要な項目と植える植物により変化する項目の2種類があります。たとえば、省管理型と管理型の屋上緑化で比べると、メンテナンス費用には3~5倍もの開きが出ます。メンテナンス費用はトータルのライフサイクルコストに影響するので、屋上緑化を行う際は、どこまでメンテナンス費用にあてられるか、という観点から緑化タイプや植える植物を考えることになります。